「同じ空の下で…」
第18章 体温
■第18章 体温
その日の夜は、めっきり寝つけずに居た。
何度も何度も頭の中で、昼間の出来事がリフレインしている。
雷鳴と雨音と共に、私の手を強く握った…高梨の手の感触…
ベッドに仰向けになりながら、掌を部屋の灯かりに透かしてみる。
…彼の中の記憶の事が、やけに気になって仕方なかった。
右の掌も、同じように灯かりに透かせるようにして、並べてみる。
瞬から貰ったリングが、煌びやかに輝く、左の薬指…。
一時帰国の際に、再び会う事が出来るのだろうか?
…その時の私は、瞬の瞳にどう映るのだろう…。
暫くそんな事を考え、手を降ろすと、その手でブランケットを握り、右側を向いて眠る体勢を取った。
いつもながらこの体勢になる瞬間というのは、
瞬がたまらなく恋しくなる。
目を閉じて数分の事…───。
ベッド脇のスマホがブルブルと震えながら、私に着信を告げていた。
[着信:安堂 タケル]
「…もしもし?」
身体を起こし、急いで電話に出た。
「やっと繫がった、艶香、今日はどした?」
「えっ?何の事だろう?」
心配そうに話しかけるタケルの声に、私の中の後ろめたさが一瞬、頭を過った。
「昼間、電源切ってたろ?」