「同じ空の下で…」
AM11:30───
梅雨真っ盛りの日曜の大通り。
家族連れやカップル達でにぎわい、老若男女が行き交っている。
タケルと待ち合わせた駅前広場にだって、額から流れる汗を忙しそうに拭きながら、誰かを待つ姿が多々見受けられた。
少し早目に待ち合わせ場所に着いてしまった私は、今年買ったばかりの夏用の籠バッグからスマホを取出し、瞬に送るメッセージを考えていた。
スマホ画面とにらめっこをしながら、彼の事を思い出す。
肌身離さず身に着けているリングに目を移し、ぼんやりとあの笑顔を思い起こすようにして、瞬を…思い出す。
『今日は何時でもいいので、話したいと思うので、時間がある時、連絡下さい。アタシから、連絡します。』
そう、本文を作ると、気が変わらないうちに…と、送信のアイコンをタップした。
籠バックの中を少し整理しながら、またバックにスマホをしまい込むと、頭上から私を呼ぶタケルの声が聞こえた。
「つやか。ごめん、待たせた?」
「ううん、全然。今着いたところだから。」
私は慌てる事なく、タケルの顔を見上げた。
タケルの額から、玉のような汗が顎先に向かって緩やかに零れ落ちて居た。
少し、息を弾ませながら、呼吸を整えるタケル。
「…まさか、急いで来た?」
「まぁ、それなりに…。」
素直な顔で、優しく答え、柔らかい笑顔のタケルに、私も思わず顔の緊張がほぐれて、顔全体が緩んだ。