「同じ空の下で…」
タケルは、煙草を取り出すと、ゆっくりと火を点け、オープンラウンジになっている方の解放された窓の向こう側に目を向け、遠くを見る様にして目を細めた。
「世の中、上手く行かない事の方が多いと思わない?」
「なにそれ。タケル、里奈に何て返事をしたの?」
「……恋愛対象じゃ、ない。」
「…ひどっ!」
「だってさ、女友達じゃん、里奈。しかも、同級生じゃん。学校も同じだったし。告られた所で、その後、どう接していったらいいか分からないし…。そんな事とかいろいろ考えてたら、面倒臭くなった。」
煙草を少し深く吸い込むと、大きく煙を吐き出した、タケルの横顔。
タケルが言うその意味を理解するには、まだ私は経験が足りないのかもしれない。
「あたしだって、同級生だよ。瞬とも同じような状況…じゃん?普通に接してたらいいんじゃないの?」
「俺的に、友達の延長で…って、ちょっとあり得ないかな。恋愛の対象となる女性ってのは、やっぱり最初から一目置いて見ると思うんだよな。」
「…ふーん、そうゆうモノなのかなぁ…。付き合って居るうちに、女性らしさを感じたりして、異性として意識していくものじゃないの?少なくとも…私は、瞬に最初から惹かれてた訳じゃなかったよ~。…男女の恋愛観の違いなのかも…ね…。」