「同じ空の下で…」
「…そうなのかもな。いずれ、俺は…里奈は…。」
「うん、分かった…そうゆう事なんだね。」
「そう、そうゆう事。」
タケルに対して酷いとか、里奈の気持を受け止めて欲しいかったのに…とかの念が生まれるが、それ以前に
『今、この状況』を里奈に見られた所で、変に言い訳しなくていいんだなぁと思ってしまう安心感も生まれてしまう。
そう思ってしまう自身に嫌気がさす。
「世の中、上手く行かない事の方が多いかも…ね。タケルの言う通りかも…しれない。」
私もシガーケースに入れていた煙草に手を伸ばすと、一本取出し、先端に火を点け、心もち深く吸い込むと宙に向かって煙を吐き出した。
ドレッドヘアを一つに纏め、少し長めのソムリエエプロンを身に着けた店員さんが、料理を運んで来ると、私とタケルは互いに煙草の火を消した。
鼻をかすめるガーリックとトマトの香り…。
「里奈が納得したなら、私はそれでいいと思うけどね。…食べよっ?」
「納得…したんだかしないんだか分からないけど…とりま、そうゆう事だよ。結果報告…的な…。…頂きます!」
ペンネをトマトソースに絡めながら、バジルの香りを楽しみながら、私はゆっくりと料理を嗜む。
その私とは対照的に、タケルはフォークに大量のパスタを巻きつけると相変わらず豪快に口に頬張った。
いつみても…タケルの食べっぷりには脱帽だ…。