「同じ空の下で…」

「ねぇ、タケル。」

「ん?」

食後のドリンクを飲みながら、私とタケルは何ともゆっくりと、まったりと時間が流れるままに、微睡むようにして、時を過ごした。

きっと、このお店にとって若干迷惑な客の一味になってると思う。

ランチについてきた、切り取られた形のティラミスを一口運び、煙草の煙の行方を追うようにして宙を眺めて居るタケルに話しかけた。

「雷と雨、好き?」

「・・・・好きな訳、ないだろう。」

「じゃあ…、男の人が他人の手をもの凄い力で握る時って…心情的にどんな時?」

「…さぁ。…どんな時だろう…。イベントの時の緊張を解きたい時は、そんな心境になったかも…知れないなぁ…。…何で?」

宙を見ていたタケルの視線は、私の目線と重なる。

何で…?って…聞かれてもなぁ。

って言いたいけど、あの時の高梨の手の感触が、なんとなく残ってる気がして、男性の意見とやらに少し耳を傾ける必要があるのかな?と、思いついただけの事だった。

率直にそういえばいいものを、何故だか言い辛い自分がそこに居た。

「…特に…意味…ない…よ。」

語尾を軽く濁らせる私を、タケルは気に留めるでもなく、また宙に目を向け、少し上方に向かって煙を吐き出した。

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