「同じ空の下で…」

「そんな恥ずかしい姿で立ってたら、逆に怪しいし…。」

「じゃ、俺の希望言うぞ?」

「…な、何?」

「スーツ着て、秘書スタイルで、メガネかけて待ってて♪私はデキるOL風な…♪」

「…何、それ。」

「俺が見た事ない艶香の姿イコール、会社の中の艶香…を、見たい。」

「有休とって休んで、…仕事する格好で空港にお迎えに?」

「そうだなぁ、小物としては、片手にシステム手帳とか抱えて、ヒールとか履いてたら最高だな♪」

「・・・・そんなの、嫌。」

「何だよ、駄目なの?ごく自然な感じでいいと思ったのに。ほら、社長、お迎えに参りました…的な?」


電話の向こうの変態じみた瞬は、嬉しそうに声を弾ませて話した。


からかわれっぱなしで、私だって負けては居られない。

少し考え、昔見たハリウッド映画に出てきた俳優の姿を思い浮べた。

「じゃあ、瞬は?…プレジデントな感じで、成田エアポートに降り立つ訳?葉巻とか口に咥えて、アタッシュケースとか携えて…?」

「艶香、映画の見過ぎだよ。そんなのヤバい薬の取引みたいじゃん?」

「瞬が、そうゆうスタイルで来るって言うなら、私も瞬の望み通りの格好で待ってるよ。」


私は悪戯に笑いながら話す。


「…そんな姿なら、俺は米国から出国出来ないな。まず、搭乗手続きの際に確実に止められるだろう…。」

「…そして、持ち物検査を丹念にされちゃうよね?」

「そうだな。おまけに尿検査とか待ってたり…。」

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