「同じ空の下で…」
高梨との事は、あれから何もない。
仕事上で会う事も無く、プライベートにも彼の姿を見かける事も無く、何だか拍子抜けすらしてしまうような程、平穏に過ぎた。
ただ、常務からは、一言、
「英君の事を随分気に入ったよだな、准一君は。」
と、有りがたきお言葉を頂き、
「光栄です」
と、自分の気持に嘘をつくかのように、私は淡々と返事を返した。
瞬に会える日を指折り数えて過ごしてみれば、帰国の日はどんどん近づいていった。
そんな日々を過ごしていたある日の勤務中。
一通のメールが私宛てに、会社のパソコンへと届いた。
不思議な表情を浮かべながら、その見知らぬアドレスからのメールを開封すると、それは、高梨からのメールだった。
[件名:事業計画案の件]
[先日は、大変貴重なお時間を過ごしていただきましてありがとうございました。もし宜しければ、近いうちに、表記の件についてそちら様にお伺いいたしたいと思っております。村越さんのスケジュールとの調整が取れ次第で構いませんので、お時間を作って頂けるよう宜しくお願いします。]
堅苦しい文面をそのまま、プリントアウトして一読し、常務室へ届け、常務と共に予定の調整を行った。
「いつ、こちらにいらして頂く事に致しますか?」
スケジュール帳を開き、常務の予定を申し伝える業務をしている途中、常務室のドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ。」
「失礼します」
入室した人物の姿を見て、私は目を丸くして、声が上手く出せずに固まっていた。
「先日は、ありがとうございました。」
丁寧にお辞儀をするその姿、その声。
「高梨…さんっ!」
私の顔は、一気に体中の血液が駆け巡った気がしていた。
仕事上で会う事も無く、プライベートにも彼の姿を見かける事も無く、何だか拍子抜けすらしてしまうような程、平穏に過ぎた。
ただ、常務からは、一言、
「英君の事を随分気に入ったよだな、准一君は。」
と、有りがたきお言葉を頂き、
「光栄です」
と、自分の気持に嘘をつくかのように、私は淡々と返事を返した。
瞬に会える日を指折り数えて過ごしてみれば、帰国の日はどんどん近づいていった。
そんな日々を過ごしていたある日の勤務中。
一通のメールが私宛てに、会社のパソコンへと届いた。
不思議な表情を浮かべながら、その見知らぬアドレスからのメールを開封すると、それは、高梨からのメールだった。
[件名:事業計画案の件]
[先日は、大変貴重なお時間を過ごしていただきましてありがとうございました。もし宜しければ、近いうちに、表記の件についてそちら様にお伺いいたしたいと思っております。村越さんのスケジュールとの調整が取れ次第で構いませんので、お時間を作って頂けるよう宜しくお願いします。]
堅苦しい文面をそのまま、プリントアウトして一読し、常務室へ届け、常務と共に予定の調整を行った。
「いつ、こちらにいらして頂く事に致しますか?」
スケジュール帳を開き、常務の予定を申し伝える業務をしている途中、常務室のドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ。」
「失礼します」
入室した人物の姿を見て、私は目を丸くして、声が上手く出せずに固まっていた。
「先日は、ありがとうございました。」
丁寧にお辞儀をするその姿、その声。
「高梨…さんっ!」
私の顔は、一気に体中の血液が駆け巡った気がしていた。