「同じ空の下で…」
────…その日、結局私は高梨と共に会社を後にすることとなる。
常務自身、私と高梨がくっつけばいいと思ってのありがた迷惑(大きなお節介)を仕掛けてきてるのか、それとも、本当に自然な流れでこんな展開になっているのか…否か…。
「どうせもう今日は残り数時間だ。一緒に帰ったらどうだ?」
「いえ、私は、まだこの後・・・・」
「では、お待ちしますよ?」
「…いえ、迷惑ですので、先にお帰りになられては…」
「大丈夫です。僕の事は気になさらずに。」
「そうだな、ここで待ってたらいい。」
「は、はぁ…。承知…致しました…。」
…なんだか腑に落ちないままに、完全に成行きでそんな展開になってしまったのである。
給湯室に戻り、湯茶の片づけをして、ため息をついていると、香織さんが入ってきた。
「常務のお客さん?」
「はい…。」
「さっき見かけたけど…結構若そうな方だったよね?」
「はい…。takanashi.coの専務さんです…。言わば、社長さんの御子息にあたる方でして…。」
「あらまぁ、そうなんだ。そういえば、確か常務とtakanashi.coさんの社長さんて、仲良しだったよね。」
「…御子息もかなりの出来る方だと…本田営業部長からも聞いてます…。」
「そう。将来有望な跡取り息子って事ね。」
「はい…。」