「同じ空の下で…」
「もし私も、そうだとしたら、高梨さんは、私への興味は失いますか?」
「えっ…?」
「Takanashi.co.の専務さんだから…時期社長の貴方だから…貴方の誘いに乗ってます…と断言するなら、興味なくなります?」
「…どうでしょう…ね。猫なで声で教えても居ない僕のプライベートの携帯番号を調べ上げて突然、電話をかけてくるとしたら、…その言葉を鵜呑みにし、貴方への興味が失せるかもしれない。」
「じゃあ、私、嫌われる努力をします。」
「…はっ?!」
「貴方に嫌われる事をことごとくします。」
「…面白い事をいいますね。そんな戦線布告された後に、その言葉を信じろと言われて…鵜呑みに出来ると思いますか?」
「…鵜呑みに…して下さい。私はこれ以上…貴方のお誘いに答える事が出来ないんです…。」
「友人…と紹介したはずだ。」
「じゃあ、…友人に、キスなんてしないで下さい。」
頬のあたりが、さっきから熱いのが分かる。
特に、エレベーターの中で、高梨の唇を受けてしまった頬の熱と感触が、未だに残っている気がしてやまなかった。
「もう…これ以上…、温もりを私に与えないで下さい。」
「何故?」
「…気持が揺らいでいきそうな自分が……、貴方の体温に負けそうな自分が芽生えてきそうで怖いんです…。」