「同じ空の下で…」
高梨の瞳を見ながら、私は胸の内を正直に話した。
どこにそんな勇気があったのだろうと、自分でも驚いてしまう。
その言葉を私の瞳を捉えながら、半ば驚いた表情で見つめてくる高梨のとび色の瞳…────。
距離に…負けそうになるって、こう言う事なのかもしれない。
心でも身体でも、瞬の事が好きでたまらなく会いたくて、愛しいというのに、目の前にある、情熱的且つ、心地よさを感じる温もりに…負けそうになって居る。
「…もう、私に触れないで下さい。」
揺らぐ。
瞬への想いが…分からなくなる…。
体が、心が…負けそうになる。
高梨の体温に…───。
こんな事をしてしまった事(例えば食事に男といったりとか見合いしてしまったりとか)に引け目を感じて…瞬の瞳がきっと真っ直ぐに見る事が出来ないだろう。
私を見据えていた高梨は、固い表情を少しずつ歪めていくが、どこか嬉しそうな表情を見せた。
「是非、その心が揺らいで欲しいものです。」
視線がぶつかる。
とび色の瞳と自らの瞳が絡み合う。
なかなかその視線から目が逸らせない。
嫌いな筈なのに、こんなにも胸がドキドキしている。
近くにある彼の温度が…手の感触が蘇ってきて、落ち着かない。
「…嫌いに…なって下さい。」