「同じ空の下で…」
「…そんな風に自分の心がコントロールできたら、世の中の人間は恋焦がれたり、不穏な恋などしないだろうな…。」
「…全く、そう思います…。」
高梨の言う言葉は、妙に納得出来てしまう。
全くもって、その通りだ。
私自身、瞬の事を簡単に嫌いになれたらとか、亮太と付き合っていた時だって亮太から解放されたくて、何度となくそう思った事が多々あった。
「触れない…約束…か…。」
高梨は、呟くようにそう言うと、グラスに口付け、また私を見据えた。
「触れられずにいられないのです。申し訳ないですが、そのお願いは聞き入れる訳にいかない、一人の男として。」
その視線。
その言葉。
仕草。
胸が、高鳴る。
言葉とは裏腹に、その言葉に惹かれていきそうな程の苦しさを覚える。
・・・・好きになりそうで、
恐い・・・・。
助けて、…瞬。