「同じ空の下で…」
「なぁ艶香、聞いてる?」
「ああ、ごめん、聞こえてたけど…何だっけ?」
「だからさぁ…、見舞いの後、時間とれるかって。艶香んち行っても大丈夫?」
「あぁ、うん…多分、大丈夫。」
「したら、爺ちゃんの容体にもよるけど…終わったら連絡する。」
「…うん、分かった。」
「じゃぁ、忙しいとこゴメンな。また連絡するよ。」
「うん。」
「じゃっ!See you!」
「うん、じゃ。」
電話が終わり、スマホの画面を見るとほんの15分程度の電話だった。
私は、2時間くらい話していたような気がしていたけど、数分で手短に話は済んでいた。
バッグの中にしまうと、またスマホが震える。
[受信:高梨 准一]
…そうだ、うかつにも、私はあの日、高梨にアドレスやら連絡先やらをやすやすと教えてしまっていたのだ。
酔いってヤツは、本当に怖い。
メールを開けてみる。
[text:先日は、色々とありがとうございました。その後、如何お過ごしでしょうか?翌日のお仕事に響かなかったかと柄にもなく心配してました。気が向いたら、連絡下さい。では、また。]
…うかつにも、あの日のキスの感触を思い出し、私は一人赤面しながら口許が緩んだ。