「同じ空の下で…」
あれから数日。
明後日、瞬が日本に帰国すると言う日。
エステに行って美顔マッサージを施して貰い、その後、由美が薦めてくれたネイルのお店に出向いて、手のお手入れ&爪のお手入れをしてもらった。
無事、休暇も取れて、あとは瞬の帰りを待つばかり。
瞬から貰ったメッセージを確認して、空港発着の時間を手帳に書き記す。
到着ロビーを確認して、それも手帳に書き記す。
早く…瞬に逢いたい。
恋焦がれているっていうのは、こういう事なのかもしれない。
瞬の体温を感じなければ。
あの感触を、刻まなければ。
安心できない、気持ちが落ち着かない、あれからずっと揺らぎっぱなしである。
同時に、後ろめたい気持ちと一緒にこみあげてくる感情。
そして、浮かんでしまう、高梨の…とび色の瞳と、笑顔。
感触。
温度。
…苦しい程の…優しいキス。
その感触も、ビックリするほど、くっきりと思い出せてしまう。
意思とは反して反応する…自分の…感情。
好意と言う仮面を被せた、罪深き感情…。
その感情を誰かに話せるかと言ったら、勿論、誰にも話す事が出来なかった。
あの日から、ずっと…誰にも会えないで居る。
誰かに会ってしまったら、馬鹿正直な自分の胸の内が、簡単に見透かされそうな気がしてやまなかった。