「同じ空の下で…」

足の速さは自然と早まる。

…いいや、むしろ、その様子は駆け寄ると言った方が妥当かもしれない。


「ただいまっ!」

その声を彼の声だと確信した私は、両手を拡げ、瞬の胸に飛び込んだ。

「…しゅんっ!!」

「おいおい、何、泣いてんの?」

「…しゅ、瞬っ、瞬っ!…おかえり…なさい…。」


せっかく、少し気合いを入れてメイクしたっていうのに…台無しだ。

だけど、そんなの気にして居られない。

会えなかった分、切なかった分、離れて居た分…それを埋めるようにして瞬に抱きついて離れなかった。

その肩を痛いくらいに抱き返す瞬の…温もり。

感触、鼓動…香り…。



「艶香…逢いたかった…」

「…うん、わた、私も…逢いたかった…。」


そのまま顔を上げると、優しく顎を引き寄せられ…


瞬の…懐かしい瞬の唇の温度と感触を…、私の唇に刻むのだった。

苦しくなる程の長いキス。

周りがどうだなんて全く気にしない。


逢えなかった分、私は、素直になろうと思った。

瞬の積極的な野性に満ちたキスを受けながら、私も同じように瞬に返す。


言葉は、要らない。

今はこの温もりに溺れて居たかった。

髪の毛をしっかりと優しくつつむ瞬の手が、懐かしくて、優しくて…


…やけに、安心する…。


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