「同じ空の下で…」


「艶香も、一緒に行こう?一緒に行ってくれる?」

突然に誘われ少し動転するも、私は素直に頷いた。

「…うん、いいよ。」

そう答えると、瞬は私の左手を静かに手に取った。

「紹介、したい、艶香を。」

「…うん。…お見舞いの何か買わなきゃいけなかったね。」

そう答えると、私の右の手の甲に軽く口づけた。


温かい。


やっぱり…だめだ。


こうしていると…

このリズム感と…

瞬が放つ空気の中に居ると…

私は瞬の事が好きでスキですきでたまらない事を実感する。


「…痩せたな、艶香。」

「…ううん、そんな事ない…。」

「嘘だ、絶対痩せた。」

…瞬が居なくなって、ご飯が食べれなかったって事を思い出す。

「…痩せた…よ。寂しくて。」

本音だけど、少し冗談めかして、私は笑った。

すると瞬は、片眉を上げ、口角を緩めて私に微笑んだ。

・・・・大好きな、瞬の癖のあるあの笑い方。

私の胸はドクンッと音が響くように高鳴った。

途端に、今、目の前の瞬の事がたまらなく愛しくなり、握られたその手を私は自分の頬に引き寄せた。

そして彼の瞳を見つめる。


「瞬の事が、たまらなく愛しい…。」

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