「同じ空の下で…」
「…ん…。」
離れる前と変わらない、優しさに満ちた瞬の眼差し。
時が止まったような…苦しさを交えた…私の鼓動。
'愛しい'という、感じた事のない感情。
瞬は、静かに私の右手に力を込めた。
「…言われなくても、分かってる。」
この狭い空間の中、小さく呟くように、私の視線から目を逸らし、前を見据えた瞬の横顔。
ただただ、車が走る音だけが聞こえる、静かな空間で、私は瞬と繫がったその手に更に力を込めた。
…もう、離れたくないよ、瞬。
このまま時が止まる事を人知れず願った。
叶うはずもない願いだってことは、重々わかってる…────。
病院から少し離れた商店街につき、私達は車を降りた。
二人で歩く、ちょっと古びた商店街の中の花屋まで二人で歩くと、小さな花篭に飾られ、少しアレンジされた花を買った。
左手にその花を抱える私を気遣い、瞬は私のバッグを手に持つと、空いた手を私の腰あたりにあてがいながら、病院へと歩いた。
「…瞬、そういえば…。」
「…ん?」
「…アメリカから日本まで…フライト、お疲れ様でした。」
「…あ、ああ。うん、ありがとう…。」
少し、言葉少ない瞬は、力なく笑った。