「同じ空の下で…」

気が付くともう既に夕刻を差していた。

瞬といつか見た朝焼けの色に似た、その夕暮れの空を見て、思わず思ってしまう事。

…───瞬、あなたが見上げてる空は、どんな空ですか?


…今日は、そんな事を思う必要がない。

なのに、それが癖になってしまっている。



今、瞬と同じ空を…見ている。



「艶香、俺の家に寄っていい?車でお前のとこ行こう?」

「…じゃ、私、先に自分のとこ帰ってよっか?」

瞬が、なんとなく一人で考え事とかしたいような気がして、私は気を遣ったつもりで言った。

「一緒に、居て。」

「…?」

「…じいちゃんの事は…さすがの俺も…ダメージ…でかい。」

「あ…そっか…。」

「…一人に、なりたくない時って…感じた事ない?」

「…あるよ。」

「だから…一緒に…居て?」

「うん…分かった。」

潤みがちな瞬の瞳。

私は瞬に従った。




…でもね、瞬。

私…、貴方に…言えない秘密が出来て…本当は……。









瞬の彼女に…

瞬の大事な人に…





相応しくない気がする…。




瞬にまっすぐに見つめられれば見つめられるほど…高梨との事の後ろめたさが、

私を襲ってくる…



器用に…誤魔化す自信が全く無かった。






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