「同じ空の下で…」

その胸の内をひたすら、隠す。

相応しくないかもしれないけど、

私は瞬の傍に居たい。

一緒に共有できる時間を…許される限り…共有したい。





────…

高い煉瓦造りの塀に囲まれ、その建物は静かに佇んでいる。

白い外車が一台と、いつも私を乗せてくれていた青い国産車が一台…。まだ車が普段も停まっているのだろう。
数台の空きが伺えるカーポートの隣に、大きすぎると言っても過言ではない玄関ドアが有る。

そのドアの上には、よく見る有名な社名の防犯装置のステッカーが貼ってあった。


恐れ多くて、私はその建物の前で足を止めた。

手を引く瞬は、怪訝そうに私の顔を見る。

「…どした?」

「…ここ、瞬の実家?」

「うん、そうだけど…?ほら、俺の車、あそこにあるだろう?」

「…そうだね…。」

「おいで?」

半ば苛立ったようにして、瞬は私の手をまた強く引いた。

私は転びそうになりながら、瞬に手を引かれるままに、そのまま引きずり込まれるようにして、瞬の実家といわれるその建物の玄関に入った。


「…私、ここで待ってる。」


玄関から先は、とてもじゃないけど、足を踏み入れる事は出来なかった。
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