「同じ空の下で…」

タケルと以前来たイタリアンの店に着くと、私は瞬に手を引かれながらその店に足を踏み入れた。

店内は相変わらず、私達と同世代くらいのお客さんで賑わっていた。


「あ、艶香~」

「あ、あれ~~~?!しゅ、瞬?!」

偶然にも、声を掛けられた相手をみると、由美と蓮だった。

「う、うっそ~~~?!え~~~?!どうゆう事?」

「あ、瞬。ホームシックだな♪」

「…フッ、艶香シック…。」

「ああ、分かる分かる。可愛がっていたペットが…居ないって寂しいよなぁ…」

「ちょっと、何、蓮、その例えっ!てか、瞬、いつ戻ったの?」

「・・・・さっき。」

「連絡くらいよこせっつーの。」

「…ああ、ちょっと、緊急帰国っつうか・・・。」

「あ、じゃ、ねぇ、一緒にどう、艶香。…お邪魔かな、私達…?」

「あ、ううん、全然。ね、瞬。」

「由美…と蓮か…。邪魔だな、うん。」

「アホ瞬。…じゃ、艶香だけおいで~。瞬は一人でどうぞっ♪」


そういうと、由美は私の手を取って自分たちの席へと案内した。

「あ、由美、てめぇ…!俺のもんだぞ、返せっ!」

「おれの″もん″ってなによぅ?いつからアタシは…」

瞬の顔を軽く睨みつけるが、本気で言ってる訳じゃない。

私は瞬の″もん″でも、何でもいいと思ってる。

今は楽しくて嬉しくて仕方がなかった。


結局、私と由美と瞬と蓮は、その日の夕食を共にすることになった。

久々の由美の薬指には、由美の趣味とはかけ離れた指輪が光って居て、直感で『エンゲージリング』だと気づいてしまった。

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