「同じ空の下で…」

「ごめん、由美、蓮、また今度ね。」

「気を付けてね、艶香、またっ!」

「瞬と仲よくしろよ~」

蓮と由美に見送られながら、私達はその場を後にした。


「瞬、待って!」

先にツカツカと歩く瞬の背中を速足で追いかける。

すると、瞬は急に立ち止まり、振り返って私の手を掴み、そのまま私を自分の腕の中に囲むようにして…

抱きしめた。

苦しい位に、強い力で抱きとめられ、自分の手の自由さえ効かない。

彼に、瞬にされるがままに身を預けて、

私は一人、安心する。




やっぱり、瞬が大好きだ。

この香りと、この温度と。

何より、予想がつかない程、私をドキドキさせてくれる。



静かに目を閉じて、瞬の胸に顔を埋める。

瞬の…少しだけ早くなってる鼓動が聞こえる。

瞬も…ドキドキしてるんだなぁ。って、微笑みが自然と生まれて来る。



何も言わずに、そのままで。


瞬と私は…暫くその場に佇むようにして…


お互いの存在を

ここに居る事の幸せを

お互いの鼓動が聞こえる距離の幸せを…

触れる事が出来る距離を…





噛みしめあったんだ・・・・────。



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