「同じ空の下で…」
車がアパートに着き、私たちは自然と手を繋ぎ、アパートの狭い階段を二人でゆっくりと昇った。
玄関を開錠すると、私より瞬が先に部屋に入り、おもむろにベッドに寝転んだ。
私は、後ろめたさを隠しながら、ゆっくりと靴を脱ぎ、自分のバッグを別室に置くと、ベッドより少し離れた床の上に座った。
「…おかえり。」
「…ただいま…。」
やっと・・・・交わした会話。
瞬は真っ直ぐに私の瞳を捉えた。
「…どうしてそっちに座る??」
拗ねたような顔で言う、瞬。
「…な、なんとなく…。」
そう答えると、瞬は口角をゆっくりと上げながら、にっこりと静かに微笑み、私に手招きをした。
ほんの少し照れもあり、頬に熱が走るのが分かる。
だけど、『一緒に居る時くらい、素直になろう。瞬の前では…素直で居よう』そう、自分に言い聞かせると、そのまま四つんばいになって瞬の傍まで行った。
静かに、私の頭を撫でながら、優しく、愛しげな表情を見せる…瞬。
まるで魔法をかけられたかのように、私の目も自然とうつろになり、瞬が与えてくれる心地よさに…半ば酔っているかのようにして陶酔しながら、彼にされるがままに従った。
私の頭を優しく撫でてくれているその手が、頭を静かに引き寄せ、更には反対側の手が、私の顎にかかる時、瞬の唇の温度が重なる。