「同じ空の下で…」
さっきまで微睡んでいたって言うのに、私は静かに瞳を開けて、その『愛』について、瞬の腕の中で少し考えてみた。
「・・・・簡単に…答えなんて…出ないよ…。」
そう答え、また瞳を閉じ、瞬の、適度についた筋肉質な腕の中で幸福感を味わう。
「…だとしたら、俺は、艶香を愛したりない…。」
「なぁに…かっこつけてるのよ…。ジュテームとか…さぁ~…。」
「だってさぁ、好きとか、大好きとかより…なんか軽くないっていうか…自然に『アイシテル』って言葉が出てくるんだけど…なんか、それも軽い気がして…」
「…充分だよ、瞬。私は、瞬が居てくれれば…それで、いいよ。…言葉なんていらない…。」
「…普段、傍にいてやれないから、言ってるんだろう…?」
「…現実に…引き戻さないで…。今は、浸っていたいのに…。」
そう我儘を言う子供のように駄々をこねると、瞬にくっつく腕に力を込めて、さっきよりも密着した。
「…大切な、人。大事な、人。・・・・口に出すと、なんでこんなに軽く聞こえる?」
「…軽くなんて、聞こえない…。充分すぎるよ、瞬…。」
そう言うと、瞬は私の耳を軽く噛んだ。
「…ポケットに入れて、連れて帰りたい…。ちっちゃくなれよ、艶香ぁ~」
「…じゃぁ、小っちゃくする方法を見つけてきてよ…。」
「…知ってたら、とっくに持ち歩いてるよ、ケータイ艶香…。」