「同じ空の下で…」
そして、また、耳に刺激を与え始める瞬。
私は思わず、あられもない声を漏らす。
「…時差…かな。眠くないんだけど…。」
「…ごめん、私は普通に…あっ…ん。」
耳たぶに刺激を与え始める瞬に、私は思わず反応する。
そしてまた、二人で身勝手に愛情とか恋情とかを確認するかのように、互いの欲求をぶつけ合う行為へと移って行く。
時間なんて分からないけど…
久しく瞬の感触を味わっていなかった私は、まるで夢の中に居るようにして、瞬の欲望をただただ受け入れた。
その行為が終わった後に、私はしばらく眠って居た。
横に、瞬が居ない事に気が付いて目を開けたと同時に、時計を見た時、丁度夜中の深夜1時を5分程過ぎていた。
咄嗟に傍にあるタオルケットで胸を覆い、彼の姿を探した。
部屋の中には、見当たらず、鈍いベッドの照明を点けると、ベランダから心地よい風が入ってきて、その方向に目を向けた。
月明かりの下、瞬がTシャツとパンツ姿でベランダに立って、月を眺めながら…もしくは空を見上げながら、煙草を吹かしていた。
「…瞬?」
「あ、ごめん、起こした…。」
「ううん、大丈夫…。」
独りで眠る事には慣れているって言うのに、起きてしまうのは何故だろう。
「…何か、眠れなくて。…やっぱ、時差かな?」
私は静かに頷いた。
時差もあるのかもしれないけど、多分、瞬の中で御祖父ちゃんの事が本人が思っている程以上に気に掛かっているんだろうと思った。
衣服を身に着けて、ベッドから降りると、ベランダに出て瞬の横に並んだ。
今、私に出来る事は…それぐらいなのだろう・・・・。