「同じ空の下で…」
私は…黙りこくった。
石のように固まった。…ような気がする。
「それに…、俺自身は、艶香に全てを話してほしいなんて思ってないし…。言わなくていい事は言わなくていいんだからさぁ…。結果的に…俺ん中では、艶香は最愛の人に相応しく思ってる相手故に、何かがキッカケになって…根絶の別れとか…嫌な訳で。自由きかなくて、悩んでるなら、無理に俺と一緒に居なくていいし、変に憎み合って恨みあってお別れなんて…真っ平だしさぁ。」
「…なぁに、ソレ。意味が…分からないよ。」
「・・・・俺自身も何が言いたいのか分からないけど…。艶香、自由に恋しろよ。もっと幸せそうにしてよ…って思う。」
「…あたしは、この2日間、この上ないくらい幸福な気持ちで一杯だったけど…」
「でもさ、俺がまたアッチに行けば、また暗い顔して日本で生活するんだろ?…はっきりと『俺についてこい』的な感じで、一緒にアメリカに連れていきたいのはヤマヤマなんだけど、今の俺ってすっごい中途半端な気がするし、自分的に納得いってない人間なんだよ。だから、言葉で『ついてこい』とか『結婚』とか…簡単に口に出来ないでいる。…いつ、納得できる人間になれるかなんて…約束も出来ないし…。保障もない。…そんなヤツを待ってほしいなんていう、勝手な事も言えない。…艶香の人生を棒にふるかもしれない…。無責任な事…言えない。」
一気に放つ言葉の一つ一つに、重みを感じながら、頭の中で噛み砕くように理解する努力をしながら・・・・
瞬の想いを受け止め、私は口を結んだ。
そして、精神を静めるかのように、煙草を一本取出し、火を点けた…。