「同じ空の下で…」

こんなにまで、瞬に色々な事を考えさせた異国ってヤツを私も見たい気がした。

一人でアメリカに渡った瞬は、私が知らない瞬を沢山産み出して居た。

この数ヶ月、彼が見た事、見た物、出会った人物、出来事…環境…全てを経験すると、こんな思考になるのだろうかと…

羨ましさすら感じた。


同じ景色、同じ感情、同じ日々を過ごしていたら、こんな考え方って生まれるのだろうか…?


で……


結局、なに?

私は、瞬に愛され過ぎたのだろうか?

それとも、突き放され始めたのだろうか?

大事、大切、その根本にある意味は、

私の幸せ…?笑顔…?

暗い顔すんな?

挙句、…自由に恋しろ…?



人生勝ち負けじゃないと言うが、

瞬の思いを聞き入れ、私は、完全に瞬に負けた気がした。


「…そんなにまで思ってくれて、ありがとうございました…」


自然に出た言葉を思わず吐き出してしまっていた。


瞬から与えられた沢山の想い、感情、熱…。

あらゆる出来事が走馬灯のように頭の奥を駆け巡る。


…こうゆう感じになるのって…

亮太と別れた時の感情に良く似ていた。

言わば…失恋したような、別れを切り出されたような…なんとも言い難い感情が生まれる。



茜色に燃ゆる煙草の先端を…じっと見つめていた。


他に発せられる言葉なんて…何も見つける事が出来ずに居た。



そんな事を言われて、笑って過ごせる訳がないじゃない…。

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