「同じ空の下で…」
エンジン音が無くなると、私はゆっくりと瞬の助手席から降り、その場から微動だにせず、瞬の姿を見ていた。
なぁんだ、失恋とは、ちょっと違うじゃない…。
そう解釈したっていうのに、どこかに何かが引っかかる感情も同時に生まれる。
「こっちだよ。」
瞬に呼ばれて、カーポートの隣のコンクリート張りの小部屋に歩いて行くと、懐かしさに溢れた瞬のバイクがあった。
キーを差し込み、何度か踏み込んでエンジンをかける瞬を見ながら、渡されたヘルメットを頭に被る。
「Your,understand?」
「I understood it…」
「As is expected.」
「Commonplace.Do not make a fool.」
「Sorry.By the way, shall we go?」
「Okay, let's just go with that.」
そう言い、瞬が乗り込んだのを確認して私は瞬のバイクの後部席に跨る。
そして、
色々な想いを込めながら、彼の引き締まったウエストに腕を廻し、しがみつくようにして密着した。
カーポートから走り去ると同時に加速していく、瞬。
私達は風と一体化しながら、住宅街を器用に走り抜けた。
…軽く、目頭の涙腺が緩み、私は目を瞑り、瞬の背中に頭をつけた。