「同じ空の下で…」
「…貫徹した人間の運転に素直に応じる艶香の勇気もなかなかのものだな。」
「あの時は、強引だったじゃないの。」
そう、あの頃、私は瞬を軽蔑していた。
大嫌い…だった。
仕方なく、一緒に居た。
だけど、今はどうだろう…。
完全に瞬と言う人間を、好きになり、慈しみ、尊敬すら感じている。
そして、アイシテル…。
縁石を見つけ、そこに腰掛けると暫く互いに無言で景色を見ていた。
時折、蝉の声に混じり潮騒がかすかに耳に届くのが、妙に心地良かった。
「…先の事は分からない。」
静かに景色を眺めて目を細めていた筈の瞬が急に口を開いた。
聞き取れなくて、私は思わず、聞き返す。
「この先の事なんて、俺も…多分、艶香も…分からないけど…。」
「…うん。…てか、誰だって、先の事は分からないよ。」
「どんな俺になってるか分からないこの先の俺を…今と変わらない気持ちで…一緒に居てくれますか?」
「…えっ?」
「今、完全に凹んでる俺に、貴方は笑顔をくれますか?…そして、俺の気持ちを信じてくれますか?」
「…ど、どうしたの、突然…。」
「…俺の傍に居てくれませんか?」