「同じ空の下で…」
密かにプロジェクトチーム編成の人事がささやかれていて、本田営業部長がチーム室長となり、人材をピックアップしてるらしいと、噂されている。
「おはよう~。艶ちゃん、リフレッシュしたんだね。お肌がピッチピチ♪」
「香織さんっ!沢山お休み頂いて…申し訳ありませんでした。」
デスクと隣りの香織さんが出勤してくると、私はまず、休んだ事を謝りを入れた。
「…いい事あったでしょ?今日は表情が明るいよ。」
「いいえ、そんな…。何か変わったことは?」
「T社の御曹司が、毎日のようにここをチェックしてたかな♪」
「……そ、そうですか…。」
「いい目の保養になったけど…年下の男はあまり興味をそそられないのよね、私。やっぱ本田部長くらいの男の中の男って感じじゃないと…なぁ~…」
「…はぁ…。そうでしたか…。背が大きいから…目立ちますよね。見たくなくても目に入るっていうか…准一さんは…。」
「えっ?!彼、下の名前、准一っていうんだ?てか…艶香ちゃん、名前で呼び合う仲とか…?」
「あ、え…あ、あの、いえっ…そ、そんなんじゃ…!」
「何も…そんな。むしろ、そこまで否定したら、余計怪しいじゃない。…いいんだよ、隠さなくても♪いいじゃない、御曹司と空間を共にするっていうのも悪くないと思うけどな。自分の格が上がるよね。」
「…本当に…そんなんじゃないんです…。」
…慌てて否定しつつも、私の脳裏にはあの時の熱い彼の唇の感触や熱が蘇り、全身に血が駆け巡るような感覚に陥った。
だめだ…。
やっぱり、彼を無意識のうちに意識してしまう…。顔から火が出そうだった…。