「同じ空の下で…」

席を離れ、高梨の元へと向かった。

「…おはようございます、高梨専務様。」

「おはよう。艶香さん、会いたかった。」

「ここ…会社ですので、そうゆうのは、やめて下さいっ。…ご案内、致します…。」

「…ありがとうございます。」

私は一気にしゃべり続けると、なるべく高梨と目を合わせないようにして常務室へご案内をした。

常務室へ案内する間、私は意を決して表情を崩さずに歩いた。

「…それと…」

「はい?」

「プライベートな呼び方は、ここではお止めにして頂けませんか?」

「…失礼いたしました。以後、心得ておきます。」

「申し訳ありません…」




心の中で小さく呟く…  ″いいぞっ!艶香、その調子だ!!″

今日は、お堅い秘書として、完璧に振る舞う事を目標とした。



「失礼いたします。高梨専務様がお見えになりました。」

「通して下さい。」

常務の声を確認し、ドアを開けて高梨を通し、またドアを閉めた。

私は給湯室に向かい、湯茶の準備を整え、常務室へと運び、またその部屋へと足を踏み入れた。



常務と知り合いと言えども…

毎回毎回、本当に態度がでかい高梨は、応接セットに座ると、常務より偉そうな格好で足を組んで座って居た。




< 537 / 646 >

この作品をシェア

pagetop