「同じ空の下で…」
席を離れ、高梨の元へと向かった。
「…おはようございます、高梨専務様。」
「おはよう。艶香さん、会いたかった。」
「ここ…会社ですので、そうゆうのは、やめて下さいっ。…ご案内、致します…。」
「…ありがとうございます。」
私は一気にしゃべり続けると、なるべく高梨と目を合わせないようにして常務室へご案内をした。
常務室へ案内する間、私は意を決して表情を崩さずに歩いた。
「…それと…」
「はい?」
「プライベートな呼び方は、ここではお止めにして頂けませんか?」
「…失礼いたしました。以後、心得ておきます。」
「申し訳ありません…」
心の中で小さく呟く… ″いいぞっ!艶香、その調子だ!!″
今日は、お堅い秘書として、完璧に振る舞う事を目標とした。
「失礼いたします。高梨専務様がお見えになりました。」
「通して下さい。」
常務の声を確認し、ドアを開けて高梨を通し、またドアを閉めた。
私は給湯室に向かい、湯茶の準備を整え、常務室へと運び、またその部屋へと足を踏み入れた。
常務と知り合いと言えども…
毎回毎回、本当に態度がでかい高梨は、応接セットに座ると、常務より偉そうな格好で足を組んで座って居た。