「同じ空の下で…」
「…失礼いたします…」
そんな高梨に、"しぶしぶ"お茶を置き、常務のデスクにもお茶を置く。
「会議室は手配済みだ。時間が来たらそちらへ向かおう。」
「承知しました。」
「英君の休暇明けを、准一君はそりゃもう楽しみにしていたんだよ。なぁ、准一君」
「こんな所でやめて下さい、村越さん。ここは会社ですよ?プライベートな感情は…ねぇ、英さん。」
止めてくれと言いながらも、少し嬉しそうに話す高梨の表情は柔らかくって、華やかな空気をこの部屋にもたらしていた。
…私は表情を引き攣らせながら無理矢理に笑顔を作りながら…答える。
「ええ、私も…そう思います。」
「英君まで何を堅い事を言ってるんだ。大いに歓迎だと思うぞ。ここでは、そんなに堅い事は無しでいこうじゃないか。」
「…だそうです、英さん。宜しいでしょうか?」
高梨は、馬鹿にしたような、勝ち誇ったような表情で私を見た。
その時、今日初めてまともに彼の表情を見た気がして…思わず赤くなる…自分の頬。
「…宜しいかと思いますが、最低限のプライベートは…控えるべきかと…」
段々声に自信を失いながら…私は俯いた。
…お堅い秘書…、撃沈である。