「同じ空の下で…」
「おお、もうこんな時間だ。さて、移動するか。」
「はい。」
高梨と常務は立ち上がった。
「英君、准一君に会議室のご案内を頼むよ。私は先に向かう。」
「承知しました。」
「英さん、宜しくお願いします」
「は…はい、承知しました。」
そう答えたと同時に、常務が先に部屋を出て行った。
シーンと静まり返る部屋の中…────。
慌ててトレイに湯茶のセットを乗せ片づけようとした時に…
「英さん、英 艶香さん。」
と、高梨に呼ばれて無言で振り向いた。
1…
2…
3…
顎先を引き寄せられて…
触れるか触れないかの…
小鳥みたいなキスが…
まるで…
リズミカルに…刻まれるように…
素早い動作で…
ほんの3秒くらいで、その全ての動作が終わり、
「逢いたかった…こんな気持ちは…初めてだ…」
なんて言葉を囁かれて、
本当にその場に倒れ込んでしまいそうな程に…
体中に熱が走った。
眩暈すら…覚えてしまう。
「き…勤務中ですよ…?やめて…くだ・・・・」
強気になって彼を睨もうにも、その隙すらを与えられず、
大きな体に包まれてしまう、私の肩。
きつく、きつく…苦しい程に抱きしめられて…
また今日も…呼吸困難になりそうに・・・・、なる・・・・。