「同じ空の下で…」
だけど、瞬から貰ったプロポーズの言葉を簡単に『会社を辞めたくないので』なんて言葉で、断るなんていうことも出来なかった。
私は、純粋に、瞬が大好きだ。
瞬との時間が、最高に幸せだ。
瞬の事が、大事で大切な人だ。
彼を愛しく思える自分が居る。
…そんな風に思える相手に出会ったのは、初めてだった。
こんなにも好きになれる人になど、出会った事がなかった。
こんなにも、他人を深く思える自分が居る事さえ、気付かなかった。
そうは言っても、離れていた時間に、揺らぐ心っていうのもあって、″遠距離恋愛=簡単に触れる事の出来ない恋愛″をもどかしく感じて、
自分に好意をもってくれていた相手を好きになりそうになってしまった事だって、事実としてあった。
瞬がこのタイミングで帰国しなければ、
私は高梨と恋に落ちてしまったかもしれない…そんなギリギリのボーダーラインにまで、自分の気持ちは揺らいでしまっていた。
誘惑に、簡単に甘んじていたのかもしれない。
現に…、こうして、瞬が居ない間の時間は、高梨の事が(昨日の様々な彼の仕草や反応やらが)気になって仕方ない自分も居る。
貪欲で傲慢で…自己嫌悪に陥ってしまう…。