「同じ空の下で…」
「うむ。私もその本田君の見解について同様の意見だ。」
…えっと…
な、何、この状況…?
私、退社する気になってたっていうのに…ここへ来て、そうゆう展開…に…?
勿論、
自分の能力や経験を買われた事は凄く嬉しかった。
殊に、本田部長にそんな風に言われることは、何よりも誇りに思えた。
今まで頑張って来て良かったなぁと、素直に思える。
だけど、どうだろう、この状況…。
動揺の念を隠せずに居る私を、総務部長も人事課長も秘書課の課長も、にこやかに頷きながら私の反応を見ながら微笑みを浮かべた。
「何よりも、こうして村越常務が言ってるんだから、君の可能性を最大限に生かせるチャンスだと思ってるんだ。・・・・返事はそう急がない。考えておいて欲しい。」
…秘書課の課長までもそう言った。
つまり…
断る余地は微塵もない事に等しく、
ますます声の出し方を忘れてしまったかのように、私は口をパクパクさせながら、
「…よ…よく、考えてみます…」
とだけ、返事をした。
…そんなこんなで…
私は、益々辞め難くなってしまったのだった。
でも…ま、待てよ?
昨日のプロジェクトチームって事は、まだまだ…あの高梨と今後も仕事を交えつつも、関わりを持たねばならないって事だろうか…?