「同じ空の下で…」

・.━━†side瞬†━━.・

□ ・.━━†side瞬†━━.・



空を仰いで、深く息を吸い込んだ。

寝転んだ芝生の匂いと、澄んだ空気がやけに新鮮に感じる。

もうすぐ…秋が近いのか、腕にあたる風が少しだけ冷たく感じる。


こう空が高く感じると、脳裏に浮かぶのはNYに立ち寄った時の街の喧噪だった。

日本とは違う、けたたましいサイレン音。

裏路地を歩けば、塀に描かれたペインティングの横に駐車している車の窓ガラスの割れて居る。

人通りの多いストリートを歩けば、イエローキャブが列を連ねていて、一つのタクシーからはもくもくと白煙が上がって、頭を大袈裟に抱えて狼狽える、ターバンを巻いた、異人…。


その時に見上げたあの空に似ている。

この空と、そっくりだ。



火葬の日、そこに現れた兄貴は、昔の面影を残したままの姿だった。

すぐに、兄貴だと分かった。

見つけて、俺が駆け寄ろうとすると、既に視界を塞がれて目の前にあったのは、親父の背中。


親父の背中の横から、少しよろめく兄貴の姿と、怒りに満ちた親父の拳が…見えた。


「…どの面下げてここに来たんだ!?」


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