「同じ空の下で…」
そして…
思い描く未来の俺の横には艶香が居る。
むしろ、艶香が居ない事の方が考えられなかった。
アメリカの空を見上げれば、いつだって艶香を想っていた。
離れて初めて分かった事。
それは、こんなにも、彼女の存在が大きかったという事だった。
何もしなくてもいい。傍に居てくれさえいればいいのにと、幾度となく思った。
上手くやって行けそうにない、打ちひしがれてしまいそうな夜だって、どれだけ彼女の面影を求めた事だろう。
艶香は、完全なる…俺の心の支えになって居た。
身勝手な事だとも思ったし、彼女の人生を大きく左右するだろうと重々承知の上だ。
だけど、言わずには居られなかった。
これからの未来はまだ分からない。
だけど、自分勝手だとわかってるし、身勝手な事だとも分かってるけど
早く艶香とアメリカでの生活を送りたいと思った。
その為にも、俺は家族との事をちゃんとしなければならない。
自分の家業についても、帰国後どうするかを決めなければならない時が来たのである。
大きく息を吸い込むと、自分の家の玄関を開けた。
「ただいま~」
「瞬っ!どこ行ってたの?」
「…ああ、悪い。友達のトコ行ってた。…親父は?」
「書斎に居るけど?」
お袋の心配そうな顔をよそに、俺は親父の書斎のドアをノックした。
「親父、話があるんだ。」
「…瞬か?…入りなさい。」
ドアを開けて、俺は、親父の顔を見据えた。
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