「同じ空の下で…」

「…そっか。それも、そうだな。手切れ金とか積まれたらどうしよう?」

タケルは面白おかしく話を飛躍させていく。

「その金額、私に後で教えて?自分の価値は高梨にとっていかほどなのか、是非知りたいもんだわ。」

「…艶香も…言うねぇ?」

「…言うわよ、その位。」

「俺なら…いくら積むかな、艶香との手切れ金…」

「…いくら積んでくれるの?」

信号で立ち止まり、悪戯にタケルの顔を見上げる。

すると、タケルは困ったような顔をして、瞬の顔真似をしながら

「…100万で。」

と言った。

「…100万か…。」

歩行者信号が青に変わるのを待ちながら、私は空を仰いだ。

「妥当?満足?」

「…まぁ、満足かな。」

「そうゆうのって、相場いくらなんだろうな?」

「…知らないけど…例えば式場のキャンセル代とか考慮しての金額なんじゃないのかな?…ドラマとか映画の請け合いでしか言えないけど…。」

「…なるほどな…。…で、艶香、いつから向こう行くのか具体的に話は?」

「まだだよ…。それよりも…今、ちょっと岐路に立たされてると言うか…。ねぇ、タケルが私の立場だったらどうするだろう?」

「…ん?何が?」

「仕事を取る?結婚を取る?」

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