「同じ空の下で…」
渋滞コースを避け、少し遠回りしながら車は走る。
途中、コンビニを見つけると瞬が車を停めてくれた。
助手席から降りながら、
「瞬は?何飲むの?」
「コーラ。」
「了解」
そう言って、一人コンビニエンスストアに足を踏み入れようとした時、コンビニから出て来る人を見て私の足は止まった。
「あ…。」
「つやか…。」
それは、亮太だった。
「何でこんな所で会うんだろな…。」
「…そうだね。」
出入り口から少し離れ、外に押し出されるような感じで、私と亮太は向かい合う。
さりげなく、車で待ってる瞬を見ると、この奇妙な光景にまだ気が付いてない様子で、少し俯き加減になってスマホの画面に指を滑らせて居た。
「お前、最近、社内で噂だよ。」
「何が…?」
「ずいぶん、派手なお付き合いしてるみたいだね。」
「何の事?」
「もう新しい男できて、毎日のようにお迎え来て帰ってるってさ~。」
そこまで聞いて、ああ、瞬の事か・・・・とやっと理解する。
「あの人は違う。同級生。」
「へ~・・・・。仲良しなんだな。」
「仲良しなんかじゃないし、亮太が思うような関係じゃない。」
「どうせ、あん時電話に出た男だろ~…。」
買ってきた缶コーヒーのプルタブを開け、一口飲む亮太。
その言葉に、確かに嘘はないけど…どう説明したらいいのか分からない。
むしろ、何で今から亮太に瞬と一緒に居なければいけない経緯を一から話す必要があるのかも疑問に思いながらも、私は黙っていた。