「同じ空の下で…」
「…今から…覚悟、します。」
「遅いっつーの。…だからさ、今は…離れて暮らさなければいけない間は…お互いに一緒に居れない時間を、一人で過ごす時間を大切に過ごせたらと、思う。一人の時間を充実させることができる人間は、きっと2人の時間を充実させる事ができると思うんだ。」
偉そうに説教するなんて…と、怒ってやりたい気持ちもあるけど、その言葉に納得してしまって全く反論の余地も無く、私は素直に頷いた。
「…うん、分かった。もっと一緒に居たいけど…瞬の意向を尊重する。ただ、さっきの話の結婚祝いの件は、やっぱり2人一緒にお祝いしてもらいたい。この我儘だけは、聞いて?私一人じゃ、意味が無い。」
「…わかった、その我儘だけは、聞き入れる。タケルに会ったらそう、言おう。」
「うん。その口実が無くても、結局、何らかの理由つけて飲むんだから。」
私と瞬の影が、段々と長くなってきて、結婚記念日とも言える長くて短い一日が終わろうとしている。
役所の休日窓口の所に着くと、タケルが満面の笑みで私たちの所にやってきた。
「…いくらなんでも、急でしょ。…つか、おめでとう!」
「なぁ、タケル。婚姻届に、親父の署名とか保護者の署名とか…要るの?」