「同じ空の下で…」
「…ううん、私、本当、無神経過ぎだよ…ああ。」

多分、瞬と晴れて夫婦になれた事で、舞い上がってしまっていたんだな…。

「…違うから、気にするなって。瞬が居なくなっても、今まで通りで、な?」

何となく、腑に落ちないまま、無理矢理頷いた。


「…Really?」


やたら声高に驚いた様子で電話で話す、瞬に、私とタケルの視線は集中した。

瞬は、大袈裟な程に、電話だというのに身振り手振りでなにやらショックのような驚きのようなリアクションをしていた。

それを見ながらタケルは、呟くように話し出した。

「…でもさ、艶香。」

「…ん?」

「生意気ながらに、恋愛体質じゃない俺なりに思った事があるんだ。」

「…え?…なんだろう?」

「好きな人が幸福そうにしている事ほど、自分にとってこの上ない幸福だな…って思った。」

「…なるほど。…確かに…そうかも。」

瞬が楽しそうに電話をする姿を見ながら、自然と笑みがこぼれるのを感じる。

この思いこそが、そう、自らの幸福であり、彼に対する愛なのかもしれないと、気付かされた気がした。

「…あれ?でも、待って?タケル、好きな人居たんだ?」

「…居たかも、な?…でも、まぁ、居ないかも。好きかどうかなんてわからなかったかも?…ま、いいじゃん。」

「なんか、ゴメン。謝ってばっかり…。タケルに自分の事ばっかり話してて、タケルの事なんて気にしてなかった…」
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