「同じ空の下で…」
何も言わず、そして微動だにせず、瞬は私の話を聞いていた。
「艶香、話せよ、ちゃんと聞くから。心ん中にある事、聞くよ。ずっと、誰にも話せなかっただろ?…そんな事。」
「…うん、こんなに細かく話すのは初めてかもね…。」
「俺も、さっきの光景なんてちょっとしか見てないけど…あの腕の掴み方は少し違和感を感じた。それで咄嗟に、やばいな…って思った。で、艶香を浚ってみたけど…。」
「…あ…ありがとう。…でもね、私達は価値観も違うし、ズレも一杯あったし、彼の浮気癖は治んないし…。私は…この先、彼と一緒だったら、いつか崩壊するかもしれないってずっと思ってた…。こんな風に…瞬に話すみたいに話す事なんて…ずっと出来なくて・・・・。黙って従うだけの女で居なきゃいけなかったんだと思う…。」
「…浮気癖?」
「うん…。私以外によく他の女の人…居たみたいだし…。」
「艶香…お前、それでもさっきの奴と付き合ってたの?」
「何度か別れを切り出した事はあった。けど…自分が不利になると又、私に手を上げて来るし…。地味な女を傍に置いて、自分の世話をさせて、綺麗で華やかな女の人と秘密の付き合いする…それが彼のスタイルだったんじゃないかな…。私はもう、そんな彼に限界だったから・・・・今回は家を飛び出した。そして、別れた。ちゃんと、最後は、自分の感情を伝えたよ…?」
瞬は・・・・何も言わず、頷いてただただ、私の話を聞いてくれていた。