「同じ空の下で…」
「もう、いいよね?まだ、聞きたい事…ある?」
泣かない。今日はもう、絶対に泣かない…けど、目が涙で一杯になってるのは、自分でも分かってる。
ただ、零れて行かないだけだった。
「もういいよ。艶香、お前、よく頑張ったな!…褒めてやるよ。」
タケルみたいに柔らかい笑顔で微笑む瞬が、私に向かって手を伸ばし、私の頭を何度も何度もなでてくれて、一気に涙腺が緩んでしまったのは・・・・
言うまでもない・・・・。
中身のない…こんなヤキモキした気持ちの為に泣いてしまう自分に、
自分の弱さを痛感し情けなかった・・・・。
「今日は、いっぱいいっぱい、海ブドウ、食べような!」
「うん…」
瞬は、私の頭から手を離して体を起こしハンドルを握ると、車の方向を変え、どこかに走り出した。
だけど、その行動を止めようとも思わなかった。
そして、車から見える流れる夜の景色を無言で、無心でただただ眺めていた。
イベントと仕事の事で頭の中が一杯だったから気が付かなかったけど…
街はどこもかしこも華やかなイルミネーションの装飾を湛え、夜の闇を彩っていた。
幾人もの人々が幸せそうに、その中を行き交っていた。