「同じ空の下で…」

「…瞬は?…瞬は彼女と上手くやってるの?」




涙がだいぶ乾いたその瞳の視線は相変わらず窓の外に向けたまま、私は瞬に問う。


「俺?」


「…うん。あたしとこんな事してて、妬かないのかなって。」


やっと運転する瞬の横顔に視線を移し、前をじっと見据える瞬を見る。


「俺も、今は彼女居ない。」

「嘘でしょう?」

「本当ですが、何か?おかしいか?」

「…ううん、意外…。」

また、華やかな外の景色に視線をうつし、呟くように私は言う。

「この前、俺、事務所の集まり行かなかっただろ?あの日、俺は女と別れました。」


「へ~…。だからあの時、瞬、居なかったんだ。」


「そう、だから艶香とこんな事になってる。」


そして、暫く沈黙が続く。


「最初から…俺はあいつの本命とかじゃ無かったし…。」

「…?」

「相手は・・・・人妻だったし。」

「…!?」


何か・・・・今、聞いてはいけないような言葉を瞬が発した気がした。


そんな答えに、私は何を言ったらいいのか良く分からない。

無理に言葉を探す必要は無いのか否か…。





「色んな形の・・・・恋って・・・・転がってるんだね。」





一体・・・・私は何、訳の分からない事を言ってるんだろう・・・・。
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