「同じ空の下で…」
軽く頭を下げ、その場を後にした。
反対側の道路に渡る時、振り返ると、高梨はまだ車の外で私を見送っていた。
合図するようにして手を軽く上げて会釈すると、高梨もまた手を上げた。
私は…これで、良かったんだ と 自分に言い聞かせた。
…────
部屋のキーロックを外し、暗い部屋に向かって
「ただいま。」
誰も居る筈も無い部屋に、自分の声が反響する。
リビングの灯りを点けて、ソファーに腰掛け、そのままなだれ込むようにして横たわる。
リビングの電気に左の掌を向け、透かして見る。
ああ、やっぱりアタシ、瞬の奥さんになったんだ…。
おかざきつやかに、なったんだ…。
独りで、そんな事を考えながら、幸福感に浸っていた。
ふと指輪を外してみる。
すると内側に何か文字が刻まれ、その文字の横にはブルーの石が埋め込まれて居た。
『ブルーダイヤモンド(サムシングブルー)』=『花嫁の純潔や清らかさ』を表し、また青は青い鳥同様、『幸を呼ぶ色』
そう何かで聞いたことがある。
everlasting love(永久の愛)
瞬のさりげない演出に想わず全身に鳥肌がたつような感覚を覚え、すかさずスマホをバッグの中から探すと、瞬の番号に発信した。
声が聴きたくて、たまらなくなった。