「同じ空の下で…」
最終章 we are under the same sky
■最終章 we are under the same sky


ワンコールで即電話に出た瞬は、何処か寝ぼけ声。

「瞬?」

「…おお、艶香。お帰り…。ゴメン、今日はそっちに行けなくて。」

「ううん、いいよ。瞬、忙しかったでしょ?」

「うん、まぁ…適度に。」

「…ただいま。今、部屋に戻ってきた。」

俯きながら、答える。…というか、報告する。

「そっか…。」

「うん。」



…電話の中で感じる、妙な″間″というのはとてつもない不安感を覚えるものだ。

耳を澄まし、彼の声を待つが何も聞こえる気配はなかった。

思わず、電波状態を確認するため、画面を見るが、電波は良好だ。


「ねぇ、瞬、聞こえてる?」

自ずから湧き起こる不安をかき消すように、瞬に問うと、あくびをしてる声が聞こえた。


「…きこえてる~…。」

「もしかして、寝てた?」

「まぁ、寝てたって言えばあながちウソでもない。…うたた寝…。」

「ごめんね、邪魔して。じゃ、切るね。」

「…うん、分かった。明日は、フライト前夜だし、そっちに行くから。…てか、迎えに行こうか?」

「ううん、大丈夫。部屋で、瞬の帰りを待つよ。」

「…ふっ。なんか、夫婦みたいだな、俺ら。」

「何いってんの。夫婦じゃん。」

「…実感、湧かねぇ…。」
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