「同じ空の下で…」
朝に、外に出た瞬間、空気がとっても美味しかった。
『見れたら、夕日が沈む所を見たらいい。滅多に飛行機からの夕焼けとか見れないだろう?』
「瞬は、見たっていうの?」
『見たよ。あれも、なんか…歴史的瞬間みたいな感動を覚えたな。』
そう、言われた事を思い出し、暫く凝視して外を眺めて居たけど…朝が早かったためか、自然に瞳が閉じて居て、眠ってしまっていた。
そして、私を乗せたその飛行機はアメリカシアトルのタコマ国際空港に無事着陸した。
様々なゲートをかいくぐり、日本からの荷物を受け取り、やっとの事で、ロビーに着くと、その姿はすぐに分かった。
欧米人に混じって、そこに佇んでいる、スーツに身を包んだ日本人の青年が、私を見つけて、手を拡げた。
私は、駆け寄って、荷物をその場に置き、その瞳を確認すると、拡げられたその手の中に飛び込む。
そして、言葉を交わす間もなく、その人に唇を塞がれる。飛行機を降りる前に、ちゃんと化粧を直しておいてよかったと心の何処かで思う。
そして、少し浮くような恰好で、私も彼の首に手を回し、少し大人のキスをする。
何度も何度も…唇を重ね合う。
甘くて、切なくて、懐かしい感触が私を安堵させてくれる。