「同じ空の下で…」
第5章 困惑
■第5章 困惑




深夜の国道の闇に吸い込まれる様に、瞬は車を走らせて居る。

走らせる・・・・というより「滑らせる」という言葉を使った方が相応しいかもしれない。


車内は、ナビの灯りと私の煙草の灯りだけが、互いの表情を照らしていた。

お互い言葉を発する事も無く、車内には瞬のお気に入りなのか…洋楽が微かに流れて居た。


「艶香、明日…てか、もう今日だな。」

いつものトーンで話し始めた瞬に思いの外、私は体がビクッとなってしまう。

「…ん~?」

国道を唯一彩ってる点滅信号を何気なく見ながら、私は深く煙草を吸う。


「俺が艶香に電話したら、出てくれる?」



「何言ってるの?いつも電話には出てるじゃない。」


「…休みの日なのに、俺、艶香に電話しても出る?」


「…ああ、そういう事。出ると思うよ。無視したら、次会う時に気不味いじゃない。」


「一応、気を使ってんですけど。」


「?」


「イベント絡み以外は出ない…って、言いそうな気がした。」


「…じゃ、イベント絡みじゃなきゃ、出ない♪」


煙草を消すと、満面の笑みで私は瞬の顔をみる。


「じゃ、出なくてもいいや。」


「何なの、さっきから。要点をお願いします。」
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