「同じ空の下で…」

「すぐ着くから、支度してて。」


「・・・・瞬、人の迷惑って・・・・考えた事ある…?」

まだ暗い部屋の中、画面から毀れる光を眩しく、そして鬱陶しく思いながら、目を段々と開眼させていく。

「あるさ、そりゃ。」

「…昨日、寝たの何時だか分かってるよね…?」

「あ―――…、君の言い分なら車の中で聞くから、さっさと着替えなさい。」

「あ゛あ゛?」


腹立ちを覚えたと同時に、さっきまでの半目の状態から一気に開眼してしまった私は、思わず体を起こしてしまった。


「じゃな。」


身勝手に電話を切る電話の主――――瞬。


「あたまくるっ!」


布団にスマホを叩きつけると、ドタドタと洗面所に向かい、バシャバシャと顔を洗う。

数時間の睡眠しかとってない私の目の下には明らかにクマが残っていて乱暴に化粧水を叩き込むと服を脱ぎ捨てる様にしながら着替えをした。

小さめのバッグに財布とスマホと煙草を突っ込み、いつ瞬が現れてもいい様な準備を整えると玄関で靴を履き、腰を下ろしたまま、苛々しながらまた目を瞑った。

♪~♪~♪~・・・・

[着信:岡崎 瞬]

また乱暴にバッグから電話を取り出すと、あからさまに不機嫌な声で電話に出る。

「着きましたよ~♪」

ひどくご機嫌な声の瞬に、腹立たしさは勢いを増した。

「はいよ。」

電話を一方的に切り、面倒臭そうに私は階段をゆっくりと降りた。


外はまだ星が瞬いていた。


「おはよう♪」

「・・・・・おはようじゃないわよ・・・・。」

「まず、乗って。寒いっしょ?」

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