「同じ空の下で…」

とりあえず、折り返し、電話をかけてみよう!


…わざわざ電話を掛ける理由を考えている。


恥ずかしい思いが4割、でも電話が来た事で嬉しい気持ちが6割。


なんだか『片思いしてる中学生』な自分がそこに居た。

そして勇気を振り絞り、ダイヤルする。


「・・・・もしもし、瞬?艶香です。着信あったみたいだけど・・・・。」


冷静に・・・・冷静に・・・・と何度も自分に言い聞かせながら、いつも通りに振る舞うように、平静を装う。


「久しぶり♪艶香、元気だった?」

「うん、元気だよ。・・・・あ、瞬は?元気だったの?」

私がそういうと、電話の向こうで瞬が高らかに笑ったのが聞こえた。


「な・・・・なによ?なんか変な事言ったかな、私…」

「あ、俺?・・・・俺は元気元気!すこぶる元気!」

笑い声を交えながら、瞬は答える。

「…あの、何なの?笑うとこなの、そこ?」

「いや、ごめん。嬉しくって。」

「は?」

「今まで、俺に『元気だった?』なんて、艶香が聞いた事無かったからさ、俺的に素直に嬉しくなってしまった♪」

・・・・一気に自分の顔が赤くなってしまうのが分かる。

確かに昔、変な間を作ってしまい、瞬の気分を害した記憶がある。
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