「同じ空の下で…」

「………もぉ!」

おでこを押さえ、ひとり呟くように言うと、慌てて瞬の後を追うように、私も店内に足を踏み入れる。



「つやか~!」

いつも元気印の由美が、立ち上がって手招きしている。

その声にニンマリと微笑み、皆の居るテーブルへと向かった。



全く瞬は… 余韻に浸る時間すら与えてくれない…。




席に着いて皆と軽く乾杯を済ますと、瞬が「メール見て」と言った事を思い出しバッグからスマホを取り出した。そして、画面を確認する。

確かに瞬からのメールが一件届いていた。


何も本文もなく、題名も無いそのメール。


「………添付?」


不思議に思いながら添付を開くと、何と言うこと!



「しゅーーん!!何よ、コレ!!」



恥ずかしさが全身を取り巻く。


添付を開くと画面いっぱいに、スッピンで眠る私の寝顔が写し出されていた。


「艶香、どしたっ?!」


驚いたタケルが私を不思議そうに見る。

嘉斗の隣で1人お腹を抱えて声を出さずに笑い転げる、大馬鹿野郎の瞬。




「もう、ヤダ………」

タケルの肩にうなだれるように手を乗せるとポンポンと肩を叩いて慰めてくれた…。

「なになに?!何があった?!」


周りに居る嘉斗や蓮も興味深々で身を乗り出して来る。

「……瞬に寝顔………撮られた……。もう、生きていけない………」



周りは、もちろん大爆笑に包まれた。


でもその後の遥人の一言で、

私の体は一瞬にしてまた恥ずかしさでいっぱいになるのだった。


「何で瞬が艶香の寝顔を撮れんの?……アレアレ~……もしやお前ら…………♪」



そう、私は墓穴を掘ってしまったのだ。

その掘った墓穴に頭まで埋まってしまいたい位に………消えてしまいたい………


もう、何も言えなかった………。

< 85 / 646 >

この作品をシェア

pagetop