「同じ空の下で…」

「あ、やっぱ、そうなんだ♪」

由美が一人、キャッキャッしていた。




「…俺、たばこでも買って来ようか…な?」

3個目のパンを平らげたタケルが口だけで笑い、そう言って立ち上がると、

「あたしも行く~」


と、由美も一緒に立ち上がり外に出る準備を始めた。

「あ、艶香。さっきのコンビニに煙草無かったんだけど近くであと、何処にあるかな?」

「・・・・そのコンビニのちょっと先ぐらいに・・・・自販機あると思うけど・・・・」

一人で狼狽えながらタケルに一生懸命、目で合図する。



[行かないでっ!2人きりにしないで・・・・!!!]



「じゃ、行ってくる。瞬は?要らない?」

「あ、じゃ、俺のも宜しく~」

「りょうか~い♪」



"タケル、そんな妙な気遣い、一切要らないからどうかここに居て…"


心の中で涙目の私が必死に懇願しているにも関わらず、


「じゃ、行ってきま~す」


と、笑顔を私に振り撒きながら2人は仲良く出て行った。



どうしょうもない位の状況に、落ち着いて居られない私は、何も用がない癖に無意味に立ち上がると

キッチンへと逃げた。



「艶香~」

今迄テレビから一切視線を逸らさなかった瞬が、急に私の方に視線を向けて呼ぶので、思わず目が合ってしまった。


「な…なんでしょう?」


「そうゆう事なんだけど、艶香の中の俺って、どんな?」

「どんな・・・・って、瞬は瞬じゃない・・・・」

「そうじゃなくてさー・・・・。」

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